経団連の企業行動・SDGs委員会(二宮雅也委員長、津賀一宏委員長、中山讓治委員長)は、国連の持続可能な開発目標(SDGs)に関する閣僚級会合「国連ハイレベル政治フォーラム」(HLPF)の開催にあわせて、7月10日から17日にかけて二宮委員長を団長とするSDGsミッションを米国・ワシントンDCならびにニューヨークに派遣した。
HLPFに関連づけた派遣としては3回目となる今回のミッションには、会員企業のサステナビリティー部門を担当する役員・実務担当者など約30名が参加した。
■ SDGs推進組織との連携強化と情報発信の場として活用
今年はSDGs採択5年目の節目を迎えることから、9月には各国首脳レベルで世界のSDGs達成に向けた進捗状況のレビューが行われる。
こうした背景を踏まえ、今回は、持続可能な開発のための世界経済人会議(WBCSD)・国連経済社会局共催会合等のサイドイベントにおいて二宮委員長がSociety 5.0 for SDGsの実現に向けた経団連の最近の取り組みについて講演を行ったほか、国連の諸機関およびSDGsの推進に関わりの深い組織とも個別に懇談し、SDGsの達成に向けた具体的なアクション本格化の方途やより実効的な連携強化の可能性等をめぐり、率直な意見交換を行った。
■ 国連機関とは具体的な取り組みに向けた対話を継続
近年、国連機関との対話を強化してきた効果として、経団連ならびに日本企業のSociety 5.0を通じたSDGsへの取り組みに対する理解が進み、今回はより具体的なトピックに関する議論を行うことができた。とりわけ、各機関からは、SDGs達成に不可欠な2つの柱、すなわち、「年間2.5兆ドルにも上る『資金ギャップ』を埋めるための投資」と「先進技術の活用・イノベーションの推進を通じたエコシステム変革等につながるインパクトの大きい取り組みの実施」において、民間部門による具体的な取り組みの進展に強い期待が示された。
世界銀行グループとの会合には、マフムド・モヒルディン上級副総裁をはじめとする幹部が参加。世銀グループによるSDGsプロジェクト支援のためのファンドや統計データの一元管理の取り組み等について説明を聞いた。
国連開発計画(UNDP)とは、昨秋締結した覚書に基づき、シンポジウムを共催。アヒム・シュタイナー総裁らが参加し、途上国が抱える課題を金融システムの改革を通じて支援する「金融セクターハブ」、イノベーションを通じて支援する「Accelerator Labs」に加え、SDGs投資のインパクト測定・評価に関するグローバル基準の策定に向けた取り組み等について説明を受けた。
さらに、国連児童基金(UNICEF)では、クリストファー・ファビアン・イノベーション部門筆頭アドバイザーと懇談。途上国の感染症予防や子どもの生活改善を図るうえで、UNICEFベンチャーファンドへの参画を通じた、先端技術を活用したソリューション提供の可能性について議論を深めた。
■ SDGs推進の旗振り役を担う企業・団体から学ぶ
また、ファイザーならびにマイクロソフトの幹部とも懇談。SDGs先進企業ならではの知見を活かしたグローバルなイニシアティブへの参画や従業員を巻き込む社内浸透の方法について、忌憚のない意見交換を行った。
このほかにも、ブルッキングス研究所、全米財団評議会、米国国際開発庁(USAID)、The Fourth Sector Groupとも懇談し、企業によるSDGsへの取り組みに関する有益な示唆を得た。
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