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執筆者の写真KeidanrenSDGs

2018年企業行動・CSR委員会活動報告

更新日:2022年2月7日


企業行動憲章シンポジウム/二宮雅也企業行動・CSR委員長

2018年12月17日(月)10:00~12:00

経団連会館 2階 経団連ホール



企業行動・CSR委員長の二宮でございます。私からは本年度の企業行動・CSR委員会の活動についてご紹介申し上げます。


昨年11月、経団連では、ただ今、中西会長からご説明がございました「Society 5.0 for SDGs」を柱に企業行動憲章を全面的に改定しました。新しい憲章では、前文に企業の役割として「持続可能な社会の実現を牽引する役割を担う」ことを記載し、経団連がリーダーシップを発揮してSDGsに本気で取り組むという姿勢を明示したことは、国内外から高い評価をいただきました。


具体的には、第1条で、Society 5.0の実現に繋がるイノベーションを通じて経済成長と社会的課題の解決との両立を図るとしています。また、新たに設けた第4条では、SDGsの根幹である、すべての人々の人権を尊重することを掲げております。さらに第10条で、経営トップのリーダーシップによりSDGsを経営に統合することなどを求めていることにも注目が集まっております。


こうした経団連の姿勢は、業界団体や個社にも影響を与え、それぞれの行動指針や経営戦略に憲章の精神やSDGsを統合する動きが進んでおります。そしてこうした経済界全体の動きは、政府や市民社会、学術界など、様々なステークホルダーにも良い刺激を与えており、今後ますますSDGs達成に向けた機運が高まっていくと感じています。


企業行動・CSR委員会では、こうしたチャンスを捉えて、より一層、「Society 5.0 for SDGs」を推進するべく、本年度は主に3つの取り組みを進めて参りました。本日、私からは、この3つの取り組みを報告したいと思います。



1.企業行動憲章に関するアンケート調査



まず1つ目は、企業行動憲章の改定を踏まえ、会員企業がどの程度、憲章で求めた取り組みを実施しているのか探るべく「企業行動憲章に関するアンケート調査」を行いました。


まず新憲章について、回答企業のうち約9割が、企業行動憲章に沿った行動規範や指針を持っており、特に、新たに憲章に盛り込まれたSociety 5.0の実現に向けたイノベーション、人権を尊重する経営、働き方改革やサイバーセキュリティなどに関心が高いことが分かりました。また持続可能な社会の実現を、経営理念や経営戦略等に盛り込んでいる企業はそれぞれ約8割、約6割であり、サステナビリティが日本企業の経営に組み込まれてきていることが伺えます。


SDGsについては、約8割以上の企業が関心を示しております。特に7割以上の企業が、バリューチェーン全体を通じて自社が社会・環境に与えている重要な影響を特定するという、SDGsへの取り組みに欠かせないアクションへの意欲を示しています。また、SDGsの理解・浸透に向けては、経営トップが自ら発信しているとの回答も目立ちました。


SDGsの各目標ベースでは、経済や環境といった目標8、目標9、目標13への関心が高い一方で、社会に関する目標1や2などへの関心は低く、これら包摂的な社会の実現を目指す目標への貢献は、「Society 5.0 for SDGs」を推進する上でも課題となると感じました。



2.SDGsに資するイノベーション事例集/特設Webサイト



続いて2つ目の取り組みである、SDGsに資するイノベーション事例集および経団連SDGs特設ウェブサイトについてご紹介します。SDGsという野心的な目標の達成には、Society 5.0の実現に向けたイノベーションや新たな価値創造が不可欠です。そこで、その第1歩として、本年7月、各企業のイノベーションをSDGsの目標ごとに整理した事例集「Innovation for SDGs - Road to Society 5.0 -」を公表しました。


この事例集では、例えば目標3の健康と福祉という課題に対して、電機、化学飲料、保険、製薬など様々な業界のイノベーション事例が網羅的に掲載されている通り、ある目標に対して幅広い業種がソリューションを提供でき、様々な連携の可能性があることがわかります。また、SDGsという国際共通言語に基づいて整理することで、国内外の多様なステークホルダーとの対話・連携の契機になります。今後、数々のイノベーションが業界や主体を超えて有機的に結びつくことで、Society 5.0 for SDGsの実現が近づいていくと期待しております。


これらの事例は、経団連のSDGs特設ウェブサイトでも公表しており、ウェブサイトでは随時、事例を追加・更新しています。公表当初から半年で、掲載事例の件数は約1.5倍まで増加し、同時公表した英語版も世界各国からアクセスいただいております。企業の皆さまからも「CSR部門だけでなく、営業部門が自社サービスを顧客に説明する際に役に立った」という声が届いているほか、国際機関からも「日本企業の素晴らしい取り組みであり、是非、日本の事例として世界に紹介したい」と仰って頂いております。


今後、このプラットフォームを一層発展させるため、様々な国内外の会議での発信、プラットフォームを活用したワークショップ等の実施を検討しております。掲載事例は随時、応募しておりますので、是非、皆様からも、新規事例をご提供いただければ幸いでございます。



3.多様なステークホルダーとの連携


3つ目の取り組みは、「Society 5.0 for SDGs」の実現に向けた多様なステークホルダーとの連携・協働の推進です。私自身も、今年、非常に多くの方々と対話させていただきました。7月の企業行動・CSR委員会訪米ミッションでは、国連本部で開催される、SDGsに関する世界最大の国際会議「SDGビジネスフォーラム」において、経団連の「Society 5.0 for SDGs」への取り組みや事例集、ウェブサイトについて発表しました。


7月のミッションでは、劉振民国連事務次長、UNDPのシュタイナー総裁、世界銀行のマフメド・モヒルディン上級副総裁をはじめ、UNICEFやUSCIB、WBCSDとも懇談する機会を頂きました。


11月には、経団連の関連団体である企業市民協議会(CBCC)会長として、ジュネーブとブリュッセルを訪れ、欧州委員会やOECD、ILO、国連人権高等弁務官事務所などのほか、NGOやESG投資関係者の方々とも対話しました。


同じく11月には、経団連自然保護協議会の会長として、エジプトで開かれた生物多様性COP14の関連会合にも参加して、今年度SDGsを踏まえて改定した経団連生物多様性宣言を説明しつつ、政策対話に参加して参りました。以上、今年は実に様々な分野のキーパーソンと、直接意見を交わすことができました。



こうして得られたネットワークがどんどん進化を遂げております。例えばUNDPのシュタイナー総裁とは、総裁が昨年8月に経団連にご来訪いただいた際、初めてお会いしたのですが、「Society 5.0 for SDGs」に大変感銘を受けられ、7月の訪米ミッション時には、各国の閣僚が集まるお忙しい時期にもかかわらず、総裁ご自身のご希望でご予定を空けて頂きました。そうした信頼関係が、先月のUNDPと経団連企業行動・CSR委員会による今後のSDGs推進に向けた連携の覚書の締結に繋がっております。


また世界銀行のモヒルディン上級副総裁、および途上国の政治的リスクや非商業リスクに対する投資保証を行う世銀グループ多数国間投資保証機関(MIGA)の本田桂子(けいこ)長官とは、7月の訪米ミッションの際にSDGsに資するイノベーション事例集をお渡ししたところ、掲載事例にご関心を持って頂きました。その後、お二方が10月に来日された際、掲載事例の企業から直接各社の事例を説明して頂く会合を開催いたしました。本田長官からは、多くの日本企業とすぐにでも連携したいと仰っていただきました。


その他、先月末に経団連を訪問された、UNICEF Innovationでデータ分析・革新技術を用いた課題解決チームを率いるクリス・ファビアン氏とは、この1年間で3回お会いしており、今後、Society 5.0 for SDGsを通じた具体的なパートナーシップの構築について検討しているところでございます。


こうした新しい連携・協働は、SDGsの達成には不可欠ですし、また企業の持続可能な成長のエンジンにもなります。企業行動・CSR委員会では、今後も、国際機関、政府、学術機関、NGO・NPOなど多様なステークホルダーとの新しいパートナーシップの可能性を果敢に探って参りたいと思います。



■おわりに


最後に、来年2019年は、日本でB20やG20、TICAD7が開催され、日本のSDGsへの取り組みに大いに注目が集まる年です。特にB20では、中西会長のリーダーシップの下、「Society 5.0 for SDGs」をテーマに議論がなされ、注目が集まることと思っております。


更に2020年には東京オリンピック・パラリンピック、2025年には大阪・関西万博など、世界的ビッグイベントが次々と日本で開催され、「Society 5.0 for SDGs」を世界に発信する絶好の機会となります。企業行動・CSR委員会では、こうした機運を活かし、「Society 5.0 for SDGs」の国際的な発信および実現に全力で取り組んで参りたいと思います。そして、日本企業が世界の課題解決のリーダー、SDGs達成のフロントランナーと呼ばれるよう、貢献して参りたいと思います。引き続き、企業行動・CSR委員会へのご理解・ご協力のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。


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